永福町の北口商店街。
むかしはビデオ屋だったがいまは古着を売っている(という設定の)店がある。
入店すると、そこがビデオ屋だったころ、小学生の自分が仮病で学校を休み、ウルトラマンをひたすら借りて自宅で引きこもって見ていた映像が思い出される。
なぜか、その映像には母親も映っていて、店内の野菜売り場でもやしを買っている。
いま、店内には、誰も居ない。
店員も居ないし、客も居ない。
吊られているジャケットを眺めていると、ちょうど自分が着ているのと同じのがある。
Levi'sの長袖デニム、Lサイズ。藍色。
うちのより藍色が新鮮だから、これは自分が買わなかった場合のジャケットだろう、と思う。
もう一方で、フード付きのとてもよい感じのロングコートがある。
(攻殻機動隊の笑い男が着てるやつじゃないだろうか?)
コートを裏返すと、背中にべったりと血糊か、赤ペンキがついている。
(もしかしたら、店の倉庫にはこういうわけありなコートが山積みになって地層をなしていて、一番下層のコートはもう土に還っているのかもしれない)