(*1)
戦場で詩をノートにとっている。
筆記用具は鉛筆で、先が丸まっているうえにものすごく薄い。消しゴムがない。
それでも、初夢なので思い出せるように数頁にわたって書く。
「巨大キノコが生えていく 焦げ付いた救急箱」
「しゃれこうべのなかに菫」
「ダーウィンの進化論が生物学にもとづいているなら、ラマルクの用不要説は天文学にもとづいている」
(*2)
株なのかネズミ講なのか、一攫千金をうたうセミナーが代々木ではやっている。
うちも一攫千金を狙って応募する。資金は二百万。相方は、よくわからない女の子。
「手品の才能がいるの。だからカレー君も仲間につけなきゃ」
赤いセルフレーム眼鏡の仕事ができそうな女の子は言う。
永福町駅前のパン屋でノートパソコンを開いて、二人で株の取引っぽいことをする。
「惣流・アスカ・ラングレーの資金はこうやって作られたの」
上下動が激しいが、けっきょく四百万くらい買って、でも税金で半分持って行かれたのでけっきょく元金の二百万だけが残る。まあ、そんなもんだよ、と二人で納得する。
代々木のラミナーに借りていたノートパソコンを返しに行こうとすると、カレー君をはじめとした手品師たちが一攫千金をやっている。ボールの色がくるくると替わる芸をやっていて、大盛況。いつのまにかうちらも観客になっていて、芸に感心している。