第44夜 「カツサンド弁当/パラグライダー」
(*1)
 ものすごく急な下りエスカレーターを下りると、モノレール、あるいはリニア・モーターカーのある駅の待合い広場は無人で小雨が降っていて、プラスチックのテーブルの上に放置していたマイセンのカツサンド弁当がずぶ濡れになっている。嗅いでみると、白菜の匂いがする。悲しい。
 駅の地下では、色とりどりの瓶に入ったポーションや、輸入チーズの類も売られているはずなのだが、(そこでバイトしていたのでわかる)、高価で買えない。リクルートスーツを着たまま、呆然としている。

(*2)
 明け方。重要なメッセージを託された、巨大な二羽の老鳥の、その片割れになっている。地上には空を飛んでいる者を撃ち落とす検問があるけれど、そういうわけなのでスルーされる。
 しばらく飛んでいるうちに、いつのまにかパラグライダーに乗った人間になっている。
 鳥のときとは違って、羽ばたかなくていいので、おおいに楽だ。
 もっとも、鳥のときも滑空しているだけでほとんど羽ばたいていなかったのだけれど。(たまに羽ばたくと、黒い羽が手羽先から何本も抜けた。たぶん高齢のせいだ。)(滑空しているということは、“飛び立った地点”は、“飛んでいる”地点よりも高い標高にあるということだ。山脈の頂上から飛んだのだろうか?)
 パラグライダーに乗りながら、高度千メートルぐらいを滑空しつづける。
 そのうちにメッセージがなんだったのか、忘れる。
 鳥の片割れを探すが、見当たらない。
 夫婦だか、双子だかわからない、うちの鳥だったころの片割れも、なにかに変化したのかもしれない。
 託されたメッセージのせいで変化したのだろうか?
 片割れが落ちていないか探すために、地上の熱帯雨林ばかり見ているうちに高度が下がってきて、あわてて正面を見ると、黄土色の山脈。
 これはぶつかるな、と思っていると、ちょうど、直方体の形に尾根が抜かれている。小型セスナなどが(あるいは、日航機とかが)山腹に激突しないための工夫だろう。
 まるで橋桁のような直方体の空隙をなんなくすり抜けると、もうそこは伊勢だ。伊勢を越えたところには、海も見える。伊勢なのに、リアス式海岸がつづいている。
 伊勢の、たぶん内宮外宮にたどり着くには、もう一つ山脈を越えなければならないが、その手前には「宗教・科学資料館」みたいな、たぶん東大の施設がある。
 ふらふらとそこに向かって高度を下げていくと、地上の人たちが喝采を送ってくれる。
 調子にのって、センターの建物内にまでパラグライダーで侵入する。
 すると、メインフロアではラジコンで操られる小型飛空挺@FFⅥが飛んでいて、あやうく衝突しそうになり、間一髪のところで着陸する。パラグライダーが邪魔なので、畳んで、体重計くらいの大きさにする。
「困るんだよねー、そういうことされると。ちょっとあっちで待っててくれる?」
 施設の野球帽をかぶったおじさんがうちをフロアから追い出す。
 追い出されたフロアの外には、長い廊下と、男子トイレ、女子トイレの通路しかない。
「トイレしかないんですけど?」
「いいから、そこで待ってて!」
 説教とかなんとか面倒になる前に、トイレの窓から逃げちゃおうと決めて男子トイレに行く。
 すると、男子トイレのなかはなぜか交番。
「パラグライダーは、ちゃんと梱包してお宅の住所までお届けしますから」
 若い警官が書類を書きながら、うちに説明する。
「でも、配送料はこっち持ちなんですよね」
「当然でしょう」
「できれば持って帰りたいんですけど。…ほら、そちらだって、梱包とか発送手続きとかめんどくさいんじゃありませんか?」
 若い警官は椅子から立ちあがる。身長は一六〇センチ前後。あたりに人はいない。これは殴られるな、と思い、殴られてわざとらしく吹っ飛ぶか、避けて殴り返して逃げるか考える。
「それ、いいね!」
 若い警官は職務怠慢だ。聞くと、二十三歳だという。タメだ。
by warabannshi | 2008-01-11 05:37 | 夢日記
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