マクドナルドのテーブル席で試験勉強をしている。
二つぐらい席をおいた隣には高校生くらいのカップルが座っていて、しきりに客の外見を評してあれこれ言っている。ウワノソラで試験勉強をしながら、カップルの言っている外見評を聞いている。
「……童貞眼鏡はべつとして、目やにをなんとかした方がいいだろ」
不意に、外見評が自分のことを言っているのだと直感する。眼鏡をはずして目を拭うと、たしかに、ひどい目やにだ。というのも、マクドナルドで出てきたドリンクがメチルアルコール、通称「バクダン」であるからだ。敗戦後、すぐにバクダンは危険性のために売られなくなったはずだが、マックでは売られているのだろうか。それとも、単なるミスだろうか?
「……やべ、俺たちの会話、聞かれてるよ」
男子の方がいまさらながら慌てる。
●最近、夢のなかで口にするものが梅味の鉄棒だったり、紅茶キノコもどきだったりと碌なものがない。メタノールも然り。味覚の感覚器がおかしいのだろうか。あるいは、記憶された味覚がおかしいのだろうか。いずれにせよ、奇妙。
せっかくの夢なのでいままで食べたことのないもの、クレーム・ブリュレだとか、そういうものを食べた感触を知りたいが、クレーム・ブリュレに梅や紅茶キノコほど潜在的関心がないとしたら、今までと同様にこれからも夢には出てこないのだろう。出てきても、それを食べたとは思い出せないかもしれない。