第161夜 「浦安市」
 浦安市のどこかの駅の駅地下で、小説のレクチャーを受けている。
 駅地下は広場のようになっていて、まるで縁日の出店のようにいくつかショップがある。
(それらのショップの一つに「ルービック・キューブ」というお店がある。ツヤがある緑色一色の外装で、ルービック・キューブのように立方体。そこのクーポン券を持っているので、ぜひ利用したいのだが、あいに今日は休業日でシャッターが下りている。なにを売っているのかは、いまいちよくわからない。化粧品? シュークリーム?)
 小説の創作について教えてくれているのは、早稲田でお世話になったI先生。
 けれど、これは早稲田関連のレクチャーではなく、カルチャーセンターかなにかのイベント。なので、惹句がうさんくさかったり、ふざけて笑いをとったりと、レクチャーの中身はイマイチ。

 ちょっとがっかりして、浦安市の公民館に行く。
 公民館から出ている地下鉄を利用して、新宿まで帰るためだ。
(どこかの駅から浦安市公民館までは、歩道橋を歩いていく。この構造はなんとなく東京ディズニーランド、または三田駅周辺に似ていると思う。
 公民館のロビーには水槽があって、ウナギ、マンボウの子供のように巨大なタイ、メバルなどが泳いでいる。さすがに海が近いから海水魚でも飼育できるのだろう。
 オーケストラ・ホールもあるようだ。このホールには、以前の来たことがあるような気がする)

 地下鉄に乗っていると、ちょうどI先生と、もう一人の老人に会う。
「早稲田の授業に出てたよね?」
 I先生はうちのことを覚えてくれていたらしい。
 そうです、と答えると、I先生は隣の耳の遠いらしい老人に、うちの回答を伝える。
 老人は、大西巨人にそこはかとなく似ているが、別人。
「きみのとこからだと浦安は遠いでしょ」
「電車で一回、乗り換えるだけなんでそんなでもないです。
 でも、レクチャーは早稲田ぐらいのレベルにした方が、皆さんも面白がると思うのですが」
「そうかもねえ。
 あ、Mさんは海から自家用車で来るらしいよ」
「あー、うち、免許持ってるんですけど、運転できないんですよね」
(友人Mが水着姿にバスタオルを羽織り、サーフボードを後ろにつんだワンボックス・カーで湘南あたりの海からやってくる図がイメージされる。『秒速5センチメートル』に似たようなシーンがある気がする。)
 そんな会話をしていると、唐突に、
「きみにとって早稲田とは?」
 I先生が聞いてくる。
 I先生は、うちがもぐりの生徒だということを忘れてしまっているのだろうか?
「準拠集団です」
 それでも即答する。
(掲示板で、同様の質問がなされた場合のシミュレーションが頭のなかでなされる。その場合は「工夫コンフーを積む場所です」と答えるだろうことが確率的にわかる)
(そのとき携帯には友人Bから、11件の着信があった。けれど、携帯はバッグの奥底にしまわれていたため、うちはそれに気がつかない。)



 ちょうどそのころ、井上雄彦は、読みきりを書くことになっていた。
 井上雄彦は、この読み切り企画にそんなに乗り気でないらしく、アシスタントとミーティングしながら題名を考えている。
 いまのところ候補は、
・『ぼくは侍』
・『ぼくの家庭には誰もいなかった』
「逆説の接続詞でつなげばいいんじゃないですか?」
 というアシスタントの意見が採用され、
『ぼくは侍だ、ところが、ぼくの家庭には誰もいなかった』
 に決定される。
(じつは彼らは、「ルービック・キューブ」のなかでこの作業を行っていたのではないか?)
by warabannshi | 2008-06-19 09:17 | 夢日記
<< (無題) 第160夜「少女轢断」 >>



夢日記、読書メモ、レジュメなどの保管場所。
by warabannshi
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
twitter
カテゴリ
全体
翻訳(英→日)
論文・レジュメ
塩谷賢発言集
夢日記
メモ
その他
検索
以前の記事
2024年 03月
2024年 02月
2023年 06月
2023年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 10月
2021年 06月
2021年 04月
2020年 12月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 01月
2019年 11月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 02月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 01月
2016年 11月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 01月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2005年 08月
2004年 11月
2004年 08月
その他のジャンル
記事ランキング