酒盛りをしていると、死んだ祖父が来る。
酒盛りは友人Nの親戚一同と、自分の親族一同の酒席。 自分は一番末席に座っている。 そして、自分からちょうどまっすぐ前の、親族たちの酒盛りの上座に、なぜか不機嫌な顔で祖父が座っているのを見つける。 親族たちは、素早くアイコンタクトをとって、祖父のぶんの酒をもって来させようとする。 アイコンタクトなのは、あからさまに気がつくと、死者である祖父が消えてしまうからだ。 それとも、そういう予測を、親族たちはアイコンタクトで伝えあったのだろうか? 祖父のぶんの酒は、あいにくビールしかない。 それでも、ビールがいそいで注がれる。そして乾杯の音頭。 「乾杯!」 だが、祖父が飲んでいるのは、いつのまにかビールではなくて、水である。 祖父は、まだ祖父が亡くなった頃にはなかった小型携帯を使って、なにか話している。 ものすごい早口でしゃべっている。 そのため、何を、誰と話しているのかわからない。 おそらく、他の死者たちと連絡をとりあっているのだろう。なぜ連絡をとっているかといえば、祖父の形をとらないときは、こうやって言葉こそが祖父の本体だからだろう。ものすごい速さで渦巻く言葉が、祖父の本体なのだ。そして、他の死者たちの言葉とは混ざり合うことはあっても溶け合うことはない。だから、こうやって個別の祖父の姿でいられるのだろう。 早口だが、たしかに祖父の声なので、聞きとれないにもかかわらず、聞いていて安心する。 なんとか、不安定な状態にあるこの祖父をひきとめたいのだが、自分には妙案がない。 交代で、親族たちが祖父をとどめるために、祖父のもとにとどまらなくてはならなくなる。 自分と、あとなぜか小学校のときの同級生Mは、いそいでジャグリングのルーティンの打ち合わせをはじめる。 祖父に言葉が通じるかが疑問だったので、ジャグリングでひきとめることにしたのだ。 Mはムーンウォークや空中側転、天井までとどくサマーソルトなど、さまざまな演技をみせる。 自分は傘がちょっと舞わせるだけだ。Mには及びもつかない。 自分はやや悄然として、祖父のもとにいくと 「祖父はもう帰ってしまったよ」と母に言われる。 母と叔父は、“父が初めて母を祖父に紹介するシーン”の再現をやっていたらしい。 祖父の残響なのか、『荒城の月』があたりから聞こえる。 酒宴のビールは、ひたすら旨かった。 その酒宴のなかになぜかレヴィ・ストロースも加わっているのを思い出す。 レヴィ・ストロースは競技用自転車にのってツーリングをしていたが、自転車が壊れてしまって、それでこの酒宴にくわわっていたのだ。 誰が自転車を壊したのかは知らない。 (08年8月19日03:29収録)
by warabannshi
| 2008-08-23 23:48
| 夢日記
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