仰向けになった姿勢で、顔面にタコをかぶせられている。
タコを顔面にのせられている、ともいえるかもしれないが、口と鼻がタコでおおわれて呼吸ができなくなっているので、かぶせられているという方が正しい気がする。
誰がかぶせたのかは知らない。タコが勝手に乗ってきたのかもしれない。
わからない。
仰向けになってタコをかぶっている自分を、横から幽体離脱して眺めている。
タコのせいで窒息したのかもしれない。
だが、苦しくはない。
それより、ボディーイメージがおかしい。
タコの表皮に無数の水疱ができて、それらが顔から全身にうつっていく。
PLAGUE。悪疫だ。
ぶちゅぶちゅした水疱は、じつは未分化細胞で、温度差で、水疱は眼球か乳房に変わる。
タコのほうの水疱はすでに眼球になりかけていて、表面にうすく黒目があらわれている。
その眼球たちが、幽体離脱したうちを眺める!
と思うと、タコも自分も、ごくふつうの姿。
タコの吸盤が、ボディーイメージを狂わせるのだろうか?
しかし、吸盤で貼りついている感覚はない。
それどころか、このタコは自分の外部記憶装置(USBメモリ)みたいだ。
USBメモリを射し込まれたパソコンは、やはり幽体離脱みたいな感覚を味わうのだろうか?